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乳歯の根管治療は必要?

乳歯は永久歯と比較して、歯が薄く、柔らかいと言われています。そのため、虫歯にかかりやすいうえに、虫歯菌に感染すると永久歯よりも早く進行してしまいます。

虫歯にかかってからすぐに、歯髄に細菌が達してしまい、歯の神経の治療が必要となる場合も少なくありません。

子どもの方が身体の修復力が高く細菌への抵抗力も強いのですが、歯髄が壊死してしまった場合は自然治癒が難しいので、根管治療を行います。

乳歯に根管治療が必要な理由

乳歯はいずれ永久歯に生え変わるため、根管治療をせずとも抜いてしまったり、放置したりすればよいと思われがちです。

しかし、下記の3つの理由から乳歯の根管治療は必要だと言えます。子どもの乳歯に異常がある場合は、早めに歯科医師に相談しましょう。

痛みを取り除くため

歯髄が細菌に侵されると、神経が壊死するため一時的に痛みがおさまる場合もあります。しかし、根管内で細菌が活発化すると毒素が排出され、根管内の圧力があがり、強い痛みが発生するリスクがあります。

根尖病巣があると身体に抵抗力が落ちたときに、顔の形が変化するほど歯茎が腫れ、強い痛みが伴う場合もあるでしょう。さらに、根尖病巣が原因で副鼻腔炎になると、歯に痛みが出る場合があります。

今痛みを感じている場合はもちろん、これから痛みが出るのを予防するためにも、乳歯の根管治療は重要です。

適切な歯の生え替わりを促すため

乳歯はいずれ抜け落ちる歯ではありますが、生え変わりにはまだ早いタイミングであれば、乳歯を抜かずに根管治療をして、自然に永久歯が生えるのを待ちます。

生え変わりの時期よりも早く乳歯を抜いてしまうと、本来歯があるべきスペースが空いているため、となりの歯が倒れてくるなどのトラブルのもととなります。その結果、永久歯が生えるスペースがなくなり、永久歯の成長や歯並びに大きな影響を及ぼすリスクがあるのです。

もし生え変わりのタイミングであれば、痛み止めや抗生剤を使用し、炎症を鎮めてから乳歯を抜きます。このように、乳歯の根管治療はタイミングの見極めが非常に重要です。

永久歯への影響を防ぐため

永久歯は乳歯の真下から生えてきます。乳歯に根尖病巣ができると膿が溜まった部分から永久歯が生えてくることになり、膿が邪魔をして永久歯が発育不全を起こしたり、正常な位置からずれて生えてきたりする可能性があります。

 

生えてくる永久歯の歯質が弱くなるため、永久歯が虫歯にかかるリスクが上がる可能性があります。

乳歯を根管治療しないと、永久歯に悪影響が及び、その後の歯の健康が損なわれるリスクがあるので、しっかり治療しましょう。

乳歯の根管治療をすることによる永久歯への影響

乳歯の根管治療をするうえで、永久歯に悪影響を及ぼさないか不安を持つ保護者の方は多いのではないでしょうか。永久歯への影響について解説します。

乳歯の神経を除去しても永久歯に影響はない

乳歯の神経を取り除くと、永久歯に影響するイメージを持つ方もいますが、心配は不要でしょう。乳歯と永久歯は歯そのものだけではなく、神経を含めて別の歯です。根管治療をしても、永久歯の神経に悪影響はありません。

ただし、永久歯に影響がないとしても歯の神経を除去するのは、歯の健康のためにできるだけ避けた方がよいので歯科医師とよく相談しましょう。

かぶせものをしても永久歯の生え変わりに影響しない

根管治療後は乳歯に銀歯などのかぶせものをしますが、基本的には永久歯の生え変わりに影響はありません。ただうえにかぶせているだけなので、乳歯が抜けるときに自然と一緒にとれます。

ただし、乳歯の根がうまく吸収されずに残ってしまった場合は、乳歯が生えた状態のまま、永久歯が横から生えてくる可能性があります。その場合は、乳歯を抜けば永久歯が正常に生えてきます。

乳歯の歯が変色しても正常な色の永久歯が生えてくる

乳歯の神経を除去すると、歯の色が黒っぽく変色するケースがあります。これは歯髄を失ったことで、血液が循環しなくなり、歯の主成分である「象牙質」のなかのコラーゲンが変色し黒みを帯びるのが原因です。また、歯の内部に存在する血液が、象牙質の細かな穴に入り込んで変色を引き起こす場合もあります。 

どちらにしても、永久歯は乳歯とは全く別の歯なので、永久歯の色には影響しません。